2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

チェルフィッチュ『私たちは無傷な別人だろうか』――新しい探索の始まり

掲題の舞台を3月7日に横浜美術館レクチャーホールで見た。『私たちは無傷な別人だろうか』で岡田利規は新しい方法による演劇的な探索を行った。導入した方法が可能にしたいくつかの手法を試した。その試み自体は面白かったが、うまくいっている面とそうで…

ままごと『スイングバイ』――悪い冗談('10年3月18日)

「なんじゃこりゃ?」である。 悪い冗談としか思えない。 けれど、呆然としつつも、これに注目すべきなのだろう。今の日本にこんなものが出てきてしまったということ、そして、それを支持する層の存在を認めないわけにはいかないだろうからだ。戯曲の基本的…

再録作業の経過報告

このエントリより、「前の日」までで、ホームページ(What Dance Says to Me:稲倉達の書庫 http://homepage1.nifty.com/ine/index.html ←当時のURL)からの再録は終了です。「次の日」からは、ブログ(ine's daypack http://ine.way-nifty.com/daypack/ ←…

砂連尾理+寺田みさこ『loves me, or loves me not』――じゃれみさのデュエットとは何か ('05年6月8日)

2005年2月12日(土) 15:00 シアタートラム 振付・演出・出演:砂連尾理+寺田みさこ 舞台美術:池田ともゆき 照明:吉本有輝子じゃれみさの現在的意義 本日、世田谷パブリックシアターで初日を迎える『禁色』の公演を前に、伊藤キムは朝日新聞のプレビュー記…

勅使川原三郎『KAZAHANA 風花』――美学的基盤をシフトさせる勅使川原('05年5月15日)

2005年2月5日(土) 18:00 新国立劇場中劇場 構成・演出・振付・美術・衣装・照明:勅使川原三郎 選曲・演出助手:宮田佳 ダンスミストレス:佐東利穂子 出演:宮田佳、佐東利穂子、吉田梓、大野千里、ブリス・デソルト、ブルーノ・ペレ、クリストフ・ドッズィ…

マレビトの会『島式振動器官』――イメージのパッチワークの中に埋め込まれたある心情('04年6月3日)

2004年6月2日(水) 19:30 こまばアゴラ劇場 作・演出:松田正隆 出演:犬男=枡谷雄一郎、サチ(その妻)=山本麻貴、砂男=田中遊、ミカ(その妹)=武田暁、医者=F・ジャパン 上演期間: 2004年6月2日〜6月6日『島式振動器官』の舞台を見て、つげ義春の「…

「山羊 −シルビアってだれ?−」――オールビー『山羊』の含意すること('04年5月27日)

2004年5月16日(日) 14:00 こまばアゴラ劇場 青年団国際演劇交流プロジェクト『山羊 −シルビアってだれ?−』 作:エドワード・オールビー 演出:バリー・ホール 翻訳:松田弘子 出演:マーティン=志賀廣太郎、スティービー=大崎由利子、ロス=大塚洋、ビリ…

バレエ・プレルジョカージュ「ヘリコプター/春の祭典」――インタラクティブ・ビデオアートの応用に注目('03年11月12日)

2003年11月8日(土) 18:00 新国立劇場中ホール 振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 『ヘリコプター』 音楽:カール・シュトックハウゼン 映像美術:ホルガー・フェルタラー 初演: 2001年『春の祭典』 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー 美術:ティエ…

マギー・マラン『拍手は食べられない』――コンセプチュアル・アートのざらざらした感触('03年11月8日)

2003年10月23日(木) 19:30 世田谷パブリックシアター 振付:マギー・マラン 音楽:ドゥニ・マリオット 衣装:シャンタル・クルペ 初演:2002年9月16日コンセプチュアル・アートのざらざらした感触 あまり面白い舞台とは言えなかった。ヌーベル・ダンスのビッ…

櫻井郁也「光年呆呆〜非暴力と不服従へのダンス第4番」――踊りへの愛に優る作品作りへの情熱('03年10月29日)

2003年10月24日(金) 20:00 planB 櫻井郁也「光年呆呆〜非暴力と不服従へのダンス第4番」 構成・振付・出演:櫻井郁也 美術・衣裳:櫻井恵美子「9.11」を契機に始めたシリーズの第4弾。休憩を挟んで35分+40分の2部構成で、近頃には珍しく「言いたいことが…

ROSAS:「レイン」から「ワンス」を読む('03年10月21日)

2003年10月4日(土) 15:00 さいたま芸術劇場大ホール アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル:「Once」 振付・出演:アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル 音楽:ジョーン・バエズ「ジョーン・バエズ・イン・コンサート パート2」(ライブ収録アルバム) 初…

天野由起子「ユメノタニマ」――夢の中の身体は、ダンスの装いを纏って舞台に立つ('03年10月17日)

2003年10月15日(水) 19:30 麻布die pratze 天野由起子「ユメノタニマ」 (演出・構成:天野由起子) (出演:加藤奈緒子、山本彩野、カワムラアツノリ、天野由起子、北島由里香)長いソロを終えた天野由紀子は、小さなテント(舞台装置)の入り口で、膝を抱える…

Noism04「black ice」――芸術監督に拍手、振付家には小言('04年12月14日)

2004年12月11日(土) 14:00 新国立劇場中劇場 Noism04「black ice」 演出・振付・出演:金森穣 美術・映像:高嶺格 出演:Noism04=青木尚哉、井関佐和子、木下佳子、佐藤菜美、島地保武、清家悠圭、高橋聡子、辻本知彦、平原慎太郎、松室美香、中野綾子(研…

「art live - sound+dance+visual vol.5」−−歴史的建築の使い方('04年12月5日)

2004年11月28日(日) 18:30〜20:30 BankART1929 馬車道ホール 「art live - sound+dance+visual vol.5」 さとうじゅんこ (sound)+ 永谷亜紀 (dance)+ michi (visual) 宮木朝子 (sound)+ 兼古昭彦 (visual):"Double absence" 種子田郷 (sound)+ JOU (dance)+ …

「dance today 11 ダンスをめぐる風景展」−−最大の収穫は「USUSU ANIMA」('04年11月11日)

2004年10月9日(土) 15:00〜 神奈川県民ホール・ギャラリー 「dance today 11 ダンスをめぐる風景展」 USUSU:映像作品「USUSU ANIMA」 勅使川原三郎:インスタレーション 「Light behind Light」 映像作品「perspective study vol.1」 「T-CITY」「ケシオコ…

Noism04「SHIKAKU」――旗揚げ公演で垣間見た金森穣の新しさ('04年6月21日)

2004年6月17日(木) 19:30 パークタワー・ホール Noism04:「SHIKAKU」 演出・振付・出演:金森穣 美術:田根剛 出演:Noism04=青木尚哉、井関佐和子、木下佳子、佐藤菜美、島地保武、清家悠圭、高橋聡子、辻本知彦、平原慎太郎、松室美香振付・衣装・演出が…

映画「エレファント」ガス・ヴァン・サント)の美しさ('04年4月13日)

開中の映画「エレファント」(ガス・ヴァン・サント監督)を見た。予告編が終わると、両側のカーテンが動いて画面の両端を隠す。すっかりワイド(1:85)に慣れているので、スタンダード(1:33)になると視界が狭く限られた感じがして、見えない部分に対する不安が…

nest「ana(log)」――デジタル化する空虚な身体('04年2月20日)

nestの「ana(log)」という公演を見に行った。会場は東京シネマ倶楽部という鶯谷にあるグランドキャバレーだった場所。3階吹き抜けて、ステージを見下ろすバルコニー席もあるのだが、観客は皆、下のフロアへと案内された。四角く出っ張ったステージを囲んで…

「安藤洋子×W.フォーサイス」('04年3月20日)

2004年2月26日(木) 19:00 世田谷パブリックシアター 「安藤洋子×W.フォーサイス」 「Wear」(2004)振付:William Forsythe 出演:安藤洋子、Amencio Gonzalez、Ander Zabala 「(N.N.N.N.)」(2002)振付:Forsythe 出演:Cyril Baldy、Gonzalez、Georg Reischl…

NIPAF'04東京公演・第1日('04年2月24日)

2004年2月23日(月) 19:00 die pratze神楽坂 NIPAF'04東京公演・第1日 スヤマフサヱ 霜田誠二 柴田玲 ヨゼフ・チェレシュ( Jozef Cseres ) ツイ・シウウェン( Cui Xiuwen ) 梅村軍司 岡田ユミ子 ビクトール・スルサー( Victor Sulser )NIPAFは仲間内の交流会…

ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ2004横浜プラットフォーム第2日('04年1月12日)

2004年1月11日(日) 15:00 横浜赤レンガ倉庫1号館 横浜プラットフォーム(旧バニョレ国際振付賞)第2日 岡登志子「ECHO」 伊藤郁女「a person」★ 康本雅子「脱心講座〜昆虫編〜」★ ★・・・ナショナル協議員賞 このイベントの性質とナショナル協議員賞 1日…

ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ2004横浜プラットフォーム第1日('04年1月11日)

2004年1月10日(土) 15:00 横浜赤レンガ倉庫1号館 ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ2004 横浜プラットフォーム(旧バニョレ国際振付賞)第1日 高野美和子「匿名トリップ」 岩淵多喜子「Be」(完成版) 岡本真…

コンテンポラリーダンスの大衆化「踊りに行くぜ!! Vol.4」('03年12月26日)

2003年12月25日(水) コンテンポラリーダンスの大衆化「踊りに行くぜ!! Vol.4」 表題の公演を25日、スフィアメックスに見に行った。いや、びっくりした。地方は凄いことになっている。Vol.4は、「札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・岡山・広島・松山・福…

三浦基演出「三人姉妹」の衝撃('03年11月13日)

自分の通り道に演劇スペースのこけら落としが行われていたので、見に行ってみた。そしたら凄い拾いものをしてしまった! アトリエ春風舎で上演されている三浦基演出のチェーホフ「三人姉妹」(地点第5回公演)。ここのところのダンス観賞で蓄積された不満が…

ガブリエル・ブラントシュテッター講演「歩行とダンス/動きの型──マース・カニングハムからアンナ・フーバーと同時代の女性振付家まで──」('03年10月27日)

2003年10月24日(金) 特別講演「歩行とダンス」 早稲田大学演劇博物館21世紀COEプログラムの企画として行われたガブリエル・ブラントシュテッターの講演「歩行とダンス/動きの型──マース・カニングハムからアンナ・フーバーと同時代の女性振付家まで──」とい…

伊藤キム+輝く未来「劇場遊園」――バッド・ボーイの楽しい遊び('03年12月14日)

構成・演出・出演:伊藤キム 振付:伊藤キム+輝く未来 合唱曲作曲・指揮:足立智美 楽曲提供:齋藤マコトほか今回の作品は、世田谷パブリックシアターという上演スペースを、通常の使い方をせずに遊ぶというコンセプト。伊藤キムはプログラムに「もともと僕…

タンツテアター・ヴッパタール「過去と現在と未来の子どもたちのために」――ソロダンスの魅力「うまさ」と「淀み」('03年11月28日)

2003年11月15日(土) 13:30 新宿文化センター大ホール 振付:ピナ・バウシュ 美術:ペーター・パプスト 衣裳:マリオン・スィートー 出演:ライナー・ベーア、アレクサンドル・カストレ、ルッツ・フェルスター、ディッタ・ミランダ・ヤジフィ、メラニー・モー…

上村なおか「沈める珠」――水底の舞姫は自分のタイミングで舞う方がよい('03年11月15日)

2003年11月7日(金) 19:30 ベニサン・ピット 構成・振付・出演:上村なおかその安定感、その動きに対する美意識の所在に、バレエの出自が刻印されている。そこが彼女の美点なのだが、反面、その出自からの遠心力を志向する場合には、そこがブレーキとして作用…

ライムント・ホーゲ論('03年10月11日)

10月5日(日) 14:00横浜赤レンガ倉庫1号館ホール ライムント・ホーゲ:レクチャー・パフォーマンス「Throwing the body into the fight」 (振付・演出・脚本・出演:ライムント・ホーゲ) (共同制作:ルカ=ジャコモ・シュルテ) 今回の公演[ Throwing the bod…

天児牛大レクチャー&デモンストレーション『身体について』参加メモ(May.23 '01)

2001年5月22日(火)19:00〜20:00 於:世田谷パブリックシアター 話:天児牛大 実演:竹内晶、栩秋大洋以下は、その場で採ったメモを基に作った要旨です。記憶違い、誤解も含まれているかもしれませんので、ご注意ください。間違いはご指摘いただければ対応…